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第151回国会 衆議院憲法調査会2号 2001/2/22
○原委員  社会民主党・市民連合の原陽子です。
 小川参考人には、本日国会までお越しいただきましてありがとうございます。 多分この中で私が一番若い年代だと思いますので、率直に、今私たち世代が結婚や子育てについてどのようなことを思っているかということも述べさせていただきたいと思います。
 それでは、早速小川参考人にお聞きをしたいのですが、参考人は御自身の論文の中で、「バブル崩壊とリストラによる経済不安が解消できれば、出生のタイミングの遅れを取り除ける可能性のあることが理解できよう。」と指摘していらっしゃいますが、厚生省の人口動態統計によりますと、受精するのが約一年前としても、まさにバブル期で日本の経済が活況に踊らされていた時期にも出生率が減少しているという実態も見られます。このことを小川参考人はどのように御説明されますか。
○小川参考人  それは、日本の社会の中で、戦後ずっと出生数と経済変数を結びつけて考えますと、七三年オイルショックまでは圧倒的に所得効果 がきいていまして、夫の所得とかそういったものによって大きく影響が出ました。ですから、そのころは割と横ばい状態というか、やや出生率が回復する傾向にあったわけで、これは黄金の六〇年代でありました。
 それが、バブル期以降急激に今度は、経済学でいうと所得効果と価格効果というんですけれども、価格効果 の方がきいてまいりまして、価格効果というのは何かというと失うものなんですね。要するに、女性が労働参加したりなんかすることによって、失うものが非常に多くなってきた。ですから、八〇年代、バブル期で大分女性の所得は急増したわけですね。そうしたときに急激に失うものが多くなってきて、やめれば賃金を、失うものが多くなりますので、そうしたら出生率を抑えてしまう。
 最近はそういう傾向ではなくて、夫の方もちょっと給料が危なくなってきたのでなかなか持ちにくいという、今度はまた所得効果 が非常に大きくきいてきているわけで、経済の発展段階というか、経済の状況によって、所得効果 と価格効果がどちらが強くきくかによってそのときの要因が変わってくるというふうに思います
○原委員  また小川参考人にお聞きをしたいと思います。
 先ほど、私、この資料を読ませていただいたんですが、ちょうど私一九七五年生まれで、多分第二次ベビーブームのときの子供、世代になります。先ほどその第二次ベビーブームのときの世代がちょうど今適齢期にあると、参考人のお言葉をおかりすれば出生適齢期にあって、その五年間の間に政策をつくってどんどん産んでもらおうというようにおっしゃっているかのように私には聞こえてくるのです。それで、子供を産むということがそういった政策という言葉で政府がコントロールできることだというふうに思われますか、そうでないかということをお聞きしたいと思います。
○小川参考人  産ませるとかそういう意味ではないのですけれども、確かに一九七一年から七四年までは第二次ベビーブームで、先生は七五年生まれですか。ちょっとその後なんですけれども、その七一年から七四年が、一年間に二百万以上生まれた。日本の歴史でひょっとすると最後の二百万コーホートになるかもしれません、毎年二百万以上生まれた。その第二次ベビーブームが今まさに出産適齢期に入ろうとしていて、データ的にも、そういう人たちが、結婚したい意欲が落ちていない、しかも、こういう未婚女性の人たちの理想子供数もそれほど落ちていないのです。それで、既婚の女性の理想子供数も、先ほどから言っているように、下がっていないのです。
 ですから、そういう人たちが産みたいという希望を持っているわけですから、ぜひ人数がたくさんいるときに、人数が少なくなってから対応策を打っても、全体的に減少をとどめるという、人口減の社会を避けようと思ってもなかなかできないわけです。そういう点で、言葉が適切でなかったかもしれませんけれども、二百万とか、全部で六百万以上いますから、この人たちのニーズを合わせたら本当は絶対量 でまさにニーズが一番高くなっているときなんですよね。ですから、そのニーズに合わせて今まさに政策を打つ時期ではないかというふうに私は考えておるわけであります。
○原委員  もちろん、今私たちが産みたいと希望していても、なかなか子供を産まなかったり産めなかったりということにはさまざまな原因というか要因があるとは思うのですが。
 一つ、リプロダクティブヘルス・ライツという権利があるのを御存じだと思います。これは世界じゅうの女性たちが長い年月をかけて手に入れつつある権利の一つだと思うのですが、残念ながら、いまだにこの権利は日本社会の中ではまだまだ発達していない権利だというふうに思います。
 私は、一昨年前に提出されて昨年廃案となりました少子化社会対策基本法案なる法案を拝見させていただいたのですが、もうまさに本当に日本というのは、この法案の中にも見られるように、権利発展途上国であるということに気づきました。もし本当にそうした少子化対策、女性の権利をというふうに思っているのであれば、そのリプロダクティブヘルス・アンド・ライツという言葉が出てきてもいいはずの法案であるのに、一カ所たりともそうした意味合いを含まれたものが出てきていないということは、今の日本社会において女性の権利とかというものが本当におくれている社会であるなということを痛感させられました。
 日本では昔から、よくうちの祖母の世代なんかは言うのですが、女性は子供を産んで一人前などと言われて周りから圧力をかけられてきたような時代もあったと思います。そして、子供を産みたくないにもかかわらず産まざるを得ない状況にあったり、子供を産めないような状況にある女性が、産めないということで自分をいかに責めて生きてきたかということがあったことも事実だと思います。  それで、このリプロダクティブヘルス・アンド・ライツは、これは日本に限らず世界じゅうの女性が長い歴史の中でやっと手に入れた女性の権利であるというふうに私は思います。
 私は、少子化対策としてこの権利のことを言っているのではなくて、やはり今、女性の権利というか、このリプロダクティブヘルス・ライツ、つまり、産むこと、産まないことをどの立場の人も自分で選択できる、つまり、健全な母体でなくても、結婚していなくても、今、婚姻届を出さなくて産まれた子は婚外子というふうに差別 されてしまうような現状があるのですけれども、そういった、結婚しなくても、とにかくあらゆる状況の中で、そして、産まなくても、産めなくても、そのことが差別 されないような社会の実現を目指していくことこそが少子化社会の対策につながっていくのではないかというふうに私は感じているのですが、小川参考人はどのようにお思いになられますか。
○小川参考人  おっしゃられるとおりだと思います。
 先ほども申しましたけれども、リプロダクティブライツというのは、産みたいときに女性が産みたい数産めるような、こういう社会をつくろうというのが精神であります。
 日本では、データ面から見ると、確かにそのアンメットニーズ、まだ満たされないニーズというのは随分あって、実際にいろいろな角度から調べてみても、日本みたいにどこへ行っても物がいろいろあって、何か十分満たされているんじゃないかなという、一見そういう感じを受けますけれども、意外に、心の中とかいろいろな実際の生活ではまだ障害がたくさんあるようでありまして、私は、このアンメットニーズが二五%日本の社会であるというのは、実際は本当に驚いているのです。
 そうすると、これを本当は真剣にとらえて、こういう人たちに本当に産めるだけの体制をつくってあげたら合計特殊出生率二は楽に超えるのではないかというふうに思います。
 そういう点では、先生がおっしゃられるとおり、女性が産みやすい、自律できるような、そういった環境をつくっていくことが極めて重要だと思いますし、伊藤委員がさっきおっしゃられていました、二十一世紀は価値観が多様化する時代である、私もそう思います。ですから、価値観が多様化する中で、そういうオプション、自分で選択できるような、そういったカフェテリア方式といいますか、好きな人に好きなものを与えられるような形に、そういう環境づくりをしていくことは有効な手段になるのではないかなというふうに思っております。
○原委員  先ほどから、経済が豊かになれば子供を産む数もふえるのではないかという御指摘、御意見等々あったと思いますが、率直に、今の私たち世代は、経済的な豊かさよりも、今本当に原点に戻って、心の豊かさというものを求めたいという気持ちでいます。
 そして、先ほど述べましたリプロダクティブヘルス・アンド・ライツは、少子化政策の対極にあるものだというふうに思うのですね。つまり、私は、本当に皆さんがおっしゃっている、人口政策と称して人口を管理するということは、女性を管理するというように聞こえてしまうこともあると思うのです。本当に私たちが産みたいときに産める社会というのは理想の社会だと思いますし、やはりそれが理想というか当然だと思うのですよ。当然な社会であるべきであって、それは政策としてではなくて、もう実行すべきもの、実行されているべきものだというふうに私は感じています。
 昨年、児童虐待防止法が施行されましたが、それにもかかわらず、いまだにそういった児童虐待の悲しいニュースをなお聞きます。私も、児童相談所に訪問に行ったときに、やはり実際にベルトでたたかれて虐待を受けた子供と会ったりもしました。そういったときに、やはりいまだに女性だけが責められてしまっている社会の現実があると思うのですね。
 それと一緒に、女性に家事をすべて押しつけて、そして男性は外でとにかくばりばり働きなさいと。そして、その中でも働きたい女性は、勝手にやっているからいいでしょう、好きでやっているのだからいいんでしょうと言わんばかりの社会であるというふうに私は感じられてならないのですね、今の日本の社会の現実というものを。
 それなので、先ほども御意見があったと思いますが、憲法十四条にうたわれている男女平等の実現というものを本当に目指していくことがこれからの少子化政策に大きくつながっていくと私は思っております。
 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

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