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第151国会 衆議院環境委員会14号 2001/6/12
○原委員  社会民主党の原陽子です。きょうは最後の質問となりました。よろしくお願いします。
 まず、今回のこのNOx法の改正についてというところで、今までの自動車NOx法がなぜ環境基準を達成することができなかったのかということについての説明を受けたときに、その原因は、自動車走行量の伸び等により、単体規制、車種規制の効果が相殺したのが原因だというふうに私は説明を受けました。つまり、環境基準に達することができなかった理由を、車の数、走行量がふえたせいにしている。それだけのせいにしているというのは、私は、こうした評価は間違いではないかというふうに考えております。それなので、今のNOx法がどうして環境基準を達することができなかったのかということをやはりしっかりと分析して、正しい評価を持って正しい政策というものをつくっていかなくてはいけないのではと考えています。
 特にディーゼル車から出されるSPMは、人の健康への影響が指摘されていて、迅速かつ有効なディーゼル車対策を講ずることが急務というふうに言われております。けさの朝日新聞にも、SPMがふえると死亡率が上昇するという記事がありまして、これは、十一日に環境省が、SPMがふえると死亡率が上昇するという調査結果をまとめたというような内容が書かれておりました。
 そして、平成十二年に出された中央環境審議会の中間報告の中でも、とりわけディーゼル車へのPM対策が急務ということで、やはり私たちの健康を考えた場合に、ディーゼル車への対策を講ずることは非常に大切だということが、どのこういうものを見ても書かれているなということを感じます。
 しかし、この中央環境審議会が出した中間報告書に対して、平成十二年の十月に東京都は、「「今後の自動車排出ガス総合対策中間報告」に対する東京都の意見」という中で、「PM対策の推進を重点課題として位置づけてはいるものの、即効性のある対策はなく、国民の健康被害をくい止めるという、切実感は伝わってこない。」というように反応しておりまして、私もこの中央環境審議会の中間報告を読ませていただいたのですが、私も東京都の出した意見と全く同感であります。
 それなので、やはり今までなぜできなかったのかという状況分析をしっかりとしていくべきだ、そして、その中から本当に有効性のある政策というものをしっかりと打ち出していかなくてはいけないなということをこの法案の審議をするに当たって非常に強く感じました。
 それでは、法案についての質問を随時させていただきたいと思います。
 知事が総量削減計画を制定する際に、東京都は、国の関与は不要であるというふうにしております。今回の法案では、自動車運送業者については国土交通大臣が、それ以外の業者については業所管大臣が関与することということになっておりまして、東京都の方では、国の関与は不要というふうに言っているのですが、何のためにこうした大臣がかかわるようになっているのでしょうか。
○松本政府参考人   事業者に対するいろいろな措置、東京都の方が国の関与は不要と言っておられるのは、ややちょっと私どもの認識と違うところがあるような感じがいたします。
 と申しますのは、現行の自動車NOx法の中で、事業者指導という枠組みが一応用意されていたわけでございますが、実は必ずしもこの枠組みというのは十分に機能をしていないのではないかという評価でございます。私どももそう思っているわけでございます。
 そういう状況を踏まえて、実は、例えば東京都でも、独自に事業者に対する措置というのを、ついせんだってまでは要綱という形で、さらには条例という形で実施をしていたわけであります。要するに、自治体レベルでそれなりの努力、工夫をやっておられたわけでございます。
 ただ、実績を見ますと、やはり自治体ですと具体的な担保措置などは十分組み込むわけにはいかないということで、実効率というのは、例えば東京都の例で見ますと、事業者指導、事業者に対する措置に対して協力をしてくれた事業者のパーセンテージは七八%、要するに二二%ぐらいの事業者はやはり積極的には協力をしてくれないというような事情にあったわけでございます。
 これはほかのNOx法の指定地域の各都府県同様でございまして、自治体としてさまざまな努力をしてこられているわけですけれども、やはり自治体単位の仕組みでは限界があるということで、このたび、むしろそういう各自治体の要請なども受けとめた形で、法律上きちっとした形で事業者に対する措置というものを組み込みたい。
 その中で、しっかりと都道府県知事が、法律上位置づけられた形で、一定規模以上の事業者に対してきちっと指導助言ができる。そして、一定規模以上の事業者はみずから自動車の使用管理計画というのをつくって、都道府県知事に法律上提出を義務づけをする、それを最大限守っていっていただく。そして、仮にその計画を都道府県知事に出さない場合には、これは法律違反で罰則がかかる。あるいは、出した後でも十分に計画どおりの努力をされなかった場合には、都道府県知事が事業者に対して勧告をすることができる。あるいは、その勧告にも合理的な理由がなくて従わなかった場合には、命令を都道府県知事が出せる。それにもなおかつそっぽを向いた場合には、罰則がかかる。しっかりとした担保措置も法律だからこそできるのではないか。
 ただ、そういう仕組みを導入するに際して、具体的に事業者が自動車の使用管理計画をどうやってつくっていくかという、そのつくっていく際のメルクマールというのはやはり何らかのものがないといけないだろうし、都道府県知事がその事業者に対して指導助言を具体的にやっていくときにどういうようなメルクマールでやっていかなければいけないか、これも一つ必要だろう。それを国レベル、法律を背景とした形での仕組みとして判断基準というのが必要なのではないか、こういうことでございます。
 ただ、そのときに、従来のように事業所管大臣にすべてお任せをするという形ではなくて、その判断基準の基本的な事項については、まず、環境大臣が案を作成して、閣議決定する総量削減基本方針の中にその判断基準の基本事項をきちっと位置づける。そして、それを踏まえた形でそれぞれの事業所管大臣が事業ごとの特殊性を踏まえた判断基準をつくる。さらに、その個々の事業所管大臣がそれぞれの判断基準をつくる際には、すべて事前に環境大臣に法律上協議をしていただく。当然、協議の場合には環境大臣としてチェックをするわけでございますし、また自主的に環境大臣として必要があればその事業所管大臣に対して意見も申し述べることができる。
 こういうしっかりとした仕組みを今度組み込むということで、今回の新しい仕組みは従前のようなことがない形で実効が上がってくるのではないか、こういうふうに考えているところでございます。
○原委員  もちろん、ですから、排気ガスを規制しましょうという法律、私たちの健康を守りましょうという法律の中に、環境大臣が関与するというか、すべてをいろいろと決めるというのは非常によく私もわかるんですが、今の御説明を聞いていても、やはり業所管大臣の関与というのは意味がないというか、なくてもいいのではないかというふうに私は考えているのですが、再度お聞きをしたいと思います。
○松本政府参考人   たくさんの事業者がいるわけでございます。事業者はそれぞれの事業活動をやっているわけでございまして、事業活動そのものを見ますと、その一定の事業目的というのがあって事業活動全体が運営されているわけでございます。
 その中で、例えば自動車を使うということになってくるわけでございまして、その自動車を使うことで環境影響という面が出てくるわけでございますから、その事業活動というトータルの面と環境影響という面がオーバーラップしてくるところは当然なわけでございます。
 そうなってきますと、やはり環境大臣もこういうような事業者に対する指導にきっちりと関与すると同時に、それぞれの事業の特性というものを十分承知しているそれぞれの事業所管大臣もそれなりに関与をして、より連携をとりながらやっていくという方が実効が上がるというふうに考えるわけでございます。
○原委員  でも今の御説明は、環境大臣がすべてチェックするということ、そして、その連携をとるために業所管大臣も関与してくるというような御説明だったと思うのですが、説明はそうだったと思うのですが、例えば例えばの話で……。
 参議院で覚書が破棄をされましたね。要するに、道路事情に関しては環境大臣は物申すことができないような内容の覚書が破棄されたというようなことがあったりする中で、やはり私たちの健康を守っていきましょうという法律の中で、もうお聞きはしませんが、私は、業所管大臣の関与というもの、国土交通大臣の関与というものはやはり削除すべきではないかというふうに考えています。もうお聞きをしませんので大丈夫です。
 そして、先ほど知事の話も出ていましたが、道路公害というものはやはり地域的な環境問題だというふうに私も認識をしております。だからこそ、よりきめ細やかな対策が可能であるように、環境基準を達成できていない地域を持つ都道府県知事だけではなくて、やはり地域的な問題であるということから、私は、政令指定都市の関与も義務づけるようにこの法律を修正すべきというふうに思うのですが、なぜ政令指定都市の関与というものが入らなかったのかなということをお聞きをしたいと思います。
○松本政府参考人   自動車は、御承知のとおり、大変広域に移動するということでございます。したがって、ある程度一定のまとまりを持った地域について対策を講じていくということが当然必要であろうということでございますので、やはり政令指定都市ということになりますと大変に、もちろん人口は密集しておりますけれども、面積その他、かなり小規模になろうかと思います。したがって、都道府県知事が、当該地域における窒素酸化物などの総量削減計画を策定して、その地域全体を見据えながら事業者に対する指導などの権限を行使していくというのが適当であろうかと思います。
 もちろん、都道府県知事が総量削減計画を策定していく際には、当該特定地域の中の政令指定都市のみならず、関係市町村すべての意見を十分聞いた上で策定をしていくということになると思います。
○原委員  再度ちょっと御確認をしたいのですが、やはり道路公害というものは地域的な環境問題であるという認識は、私と変わりはございませんでしょうか。そういうことですよね。やはりその地域性というか、道路公害は地域的な問題であると。
○松本政府参考人  地域性のある問題という意味ではそうかもしれませんが、要は、地域の大きさというのをどういうふうに見ていくかということであろうかと思います。
 もちろん、日本全国道路があるわけですから、日本全国自動車が走っているわけでございますから、そういう意味からすると、自動車の排出ガス規制というのを全国レベルで単体規制というのでやっていかなければいけないということでしょうし、交通量が多くて環境基準の達成がなかなかはかばかしくいかない大都市圏域については、大都市圏域に着目した対策というのは、どの程度の規模の地域性というものを考えてやっていったらいいか、こういうことだろうと思うのです。もちろん局地汚染というものもありますから、そういうものについては極めて限定的な地域的な問題ということにもなると思います。
 自動車NOx法が考えておりますのは、そういう意味で、首都圏域、近畿圏域、今度は中部圏域ということを念頭に置くわけでございますけれども、総量削減計画はやはり都道府県知事さんがつくるぐらい、そのくらいの大きさの地域というのを念頭に置いた方が適当であろう、こういうふうに考えるわけです。
○原委員  でも、この公害の問題の多くは、人口が密集しているというか大都市なわけでして、やはり政令指定都市の関与というものも私は義務づけるべきだというふうに思います。
 先ほどの、中環審の中間報告に対するまた東京都からの意見なんですが、自動車排ガスによる大気汚染は地域的な環境問題であることから、地方自治体の役割を今後一層強化すべきだと、これは自治体の方の声として提言をされているわけです。しかし、実際の法律の中で、自治体の権限が不明確だというふうに私は感じました。
 例えばこの十六条で、都道府県知事は、判断基準を勘案して、事業者に対し必要な指導及び助言が、先ほども御説明あったと思いますが、できるとなっていますが、例えば、条例等々によって立入調査とかも定めることが可能だというふうに考えてよろしいでしょうか。
○松本政府参考人  まず基本的な認識といたしまして、自動車NOx法といいますのは、法律に基づいて仕組まれている国の制度、それを実際上は都道府県知事さんなりがかなりの役割を果たして進めていかれるという制度でございますが、それぞれの都道府県、あるいは場合によっては政令指定都市もあろうかと思いますけれども、自治体がその地域の社会的、自然的条件の中で独自に条例を制定していろいろな対策を組むということは、これは何ら差し支えのない話であります。
 例えば、東京都が昨年十二月に環境保護条例をつくられて、それなりに東京都として独自の対策を今後進めていかれるということでございますけれども、東京都という地域であっても、やはり自動車NOx法はかかるわけです。
 自動車NOx法の対策と東京都独自の条例の対策というのがむしろ両々相まって、相互補完をした形で大気汚染改善のために進んでいく、これがむしろ望ましい姿なわけでありまして、何か国の制度で、あるいはNOx法が改正されることによって、自治体の何か権限その他が制約されるということはないと思います。
 それは一般論でありますが、ただ、今回の自動車NOx法改正後の法第二十条に基づきまして、都道府県知事は、その職員に、特定事業者の事務所その他の事業場に立ち入り、帳簿等の物件を検査させることができるという立ち入り権限もきちっと位置づけてあります。
○原委員  ですから、このNOx法は最低限の対策であるというふうに位置づけをして、そして都道府県ごと、その地域に合った、条例による横出し、下出し、上乗せというふうに言うそうですが、要するに、地方自治体の能力によりより積極的な対策が可能であるというふうな確認、理解でよろしいのでしょうか。
○松本政府参考人  そのとおりでございます。
○原委員  また先ほどのお答えの確認になるのですが、東京都が独自で行っている、例えば、SPMの排出基準を設定してディーゼル車の走行を禁止し、禁止命令に従わない場合は、氏名の公表、五十万円以下の罰金など、より厳しい取り組みをしているそうした自治体の対策の妨げはこの法律によって起こらないということも確認したいのですが、そういう理解でよろしいでしょうか
○松本政府参考人  今回の改正自動車NOx法と東京都が十二月に制定をいたしました条例による独自の規制、これは両々相まって東京都の環境汚染改善に向かって進むべきものと考えます。要するに、相互に制約はかからないということでございます。
○原委員  くどくて済みません、大臣にも同じことをお聞きしたいのですが、このNOx法は、こうしたいろいろな独自性を持った自治体の取り組みに対しての妨げにはならないということを大臣にも。
○川口国務大臣   大気汚染の状況というのは地域によって異なるものでございますので、地域の公害防止に責任を持つ地方公共団体が各地域の社会的な条件あるいは自然的な条件に応じまして積極的に対策をとるということは重要であるというふうに考えておりますし、それを尊重すべきものというふうに思っております。
 先ほど局長が申しましたように、国の施策と地域の施策と両々相まって本来の目的が達せるものであるというふうに認識をいたしております。
○原委員  ありがとうございます。
 次の質問に移ります。
 環境基準に著しく達していない地域というのがたくさんあるというふうに私は省庁の方からの説明で聞いたのですが、こうした環境基準に達していない地域に今回のこのNOx法で網をかけるということでしたが、NOx法の対策を進める上で、こうした地域への財政的支援措置というものは考えていらっしゃいますでしょうか。
○松本政府参考人  自動車NOx法に基づきます各種の対策を円滑に推進するというねらいから、環境省におきましては、各自治体などに対しまして、技術的なあるいは資金的な支援措置を講じていきたいと考えております。
 具体的には、例えば、各自治体、各都府県におきます的確な削減目標量などの算定あるいは総量削減計画の策定、それから具体的な対策推進の進行管理、こういうようなものについて財政的な支援をしていきたい。あるいは、技術的にもいろいろと要望があればアドバイスをしていきたい。
 それから、自治体におきます大型ディーゼル車、これは公営バスあるいはごみ収集車を考えておりますが、その大型ディーゼル車の低公害車への代替あるいはディーゼル排気微粒子除去装置、DPFでございますが、これについての装着、これは公営バスを念頭に置いておりますが、これに対する補助、こういうようなことも支援策として考えているところでございます。
○原委員  ぜひ、自治体とも密接に協力をしてやっていくという意見の中で、自治体が独自で施策をとる場合に、二重規制とか二重投資であるというふうなこととならないように、自治体の努力や対策を妨げるようなことが起こらないようにしていっていただきたいというふうに、これは先ほど確認をとりましたが、お願いをしたいと思います。
 次に、東京都と環境省の対策における違いというものを、私はここで指摘をしたいなというふうに思います。
 例えばディーゼル車にSPMを取り除くフィルターをつけることにおける姿勢についてなんですが、環境省の方にお聞きをしましたら、今のところの技術ではフィルターが目詰まりをしてしまうと。私はこれは非常に後ろ向きな姿勢だなというふうに受けとめたのですが、ところが東京都は、このフィルターが目詰まりをしてしまうという同じ課題に対して、目詰まりをするのはなぜかというふうに考えて、より質の高い燃料を使ったり、余分にかかる費用に予算をつけるなどのもっと積極的な取り組みをしているという違いがあるなというふうに私は感じました。
 そして、いろいろなことを行っていこうという場合に、必ず障害というものはどこにでもあるわけで、その障害を、例えば今技術が追いつかないからということを理由にして、できないとしてしまうのが今の環境省の姿勢かなというふうに感じます。しかし、その障害を取り除くにはどうすればいいのかということで、もっと積極的に考えていったのが東京都の姿勢だなというふうに私は思っております。
 環境対策を行う行政として、どちらの姿勢がより環境対策を進めることができるのかどうか。私は政治家としてやはり東京都のような積極的な姿勢を評価したいと思うのですが、同じ政治家としての政務官の御意見、御見解をお聞きしたいと思います。
○西野大臣政務官   環境省は非常に前向きではないではないか、こういうふうにも受け取れるわけでございまして、実は、御案内だと思いますが、このディーゼルの微粒子の除去装置、DPFと呼んでおるわけですが、これは、もちろん環境省だけではなくて関係の省庁で検討会を開いた結果、技術的に、これが装着をしていい場合と、効果のある場合とそうでないものがあるということでありました。
 例えば、平成元年から急にふえてきたわけでございますが、平成元年から五年ぐらいまでのものはかなり効果があるそうでございます、これを取りつけることについて。ところが最近、おおむね平成六年以降今日のものはかなり改良されておりまして、そのDPFを装着しましても、もう既にそれだけの、装着しただけの効果があるものに改良されてきておるわけでございます。ですから、一律にすべて義務づけるということに、そういう点で、既にもうつけなくても大丈夫という新しいものもある、こういう意味でございますので、どうぞ御理解をいただきたいなというふうに思っております。
 つきましては、環境省では、ことし、平成十三年度の予算で、先ほど松本局長も答えましたけれども、地方自治体等が公営のバスの運行などをやっておりますが、公営バスにDPFを装着、取りつけるということになれば、そういう自治体に対しての補助をやる、こういうことであります。
 さらに、原さんがちょっと指摘をされました燃料の改善の話は、東京都なんかはやっているではないかということでございますが、これにつきましても、特に軽油でございますが、軽油の中にあります硫黄分等は、実はこの改善として、できれば十六年までということでございますが、ちょっと長いんですけれども、十六年末までぐらいにはこの硫黄分について、現行五〇〇ppmからこれを五〇ppmに低減する強化策を積極的に取り組んでいく、期間が少しかかりますけれども、そういうことを今考えておる、こういうことでございます。
○原委員  ぜひ環境省としても、より積極的な姿勢で臨んでいっていただきたいというふうに思います。
 では、次の質問に移らせていただきます。
 森政権下での川口大臣の所信表明のときに私が尋ねたことについてお聞きをしたいと思うのですが、森政権下の川口大臣の所信表明のときに、私は、公害にかかわる行政訴訟について大臣にお尋ねをしたと思います。
 そのときに私が聞いたのは、道路ができる計画段階でも将来的に大気汚染が予測できる場合は、その周辺住民が裁判を起こし、原告適格と認められるようにしなければ不十分ではないかということを私は大臣にお聞きをしました。そのときの大臣のお答えは、司法制度改革審議会の動向を見守るという答えでした。
 先日、小泉首相は行政事件訴訟法の改正を指示したという新聞記事が載っておりました。この中で、これまで、法律上の利益を有する者に限り提起できるとされてきた規定を、現実に法律上の不利益を受けるおそれがある者などに要件を緩和する案が浮上していると報道をされておりました。ここで改めてお聞きをしたいのです。改めて、小泉内閣の環境大臣としてのお答えをいただきたいと思いますので、もう少しちょっと具体的にお聞きをしたいと思います。
 現在、環境基準は、環境基本法の十六条で、維持されることが望ましいと、望ましい基準になっているだけで、達成されなくてもだれも責任を持たなくていいというような仕組みになっています。私は、ここが日本の環境行政が進まない理由ではないのかというふうに思っておりまして、維持されることが望ましい基準を達成しなければいけない基準にして、しっかりと責任を持たせるべきじゃないかというふうに思っております。
 要するに、健康というものはお金で買えないわけであって、公害の患者となった後でお金をもらっても仕方がないわけです。環境法令そのものを改正して、環境対策をすべき者の責任を明確にして、裁判に訴えられるのは嫌だから早く対策をしようという心理が動くようにしなければならないのではないかと思うのです。
 つまり今までの基準、望ましい基準だとだれも責任を持たなくていいわけですよね。ですから、だれを訴えることもできないような状況になっているので、これをぜひ達成しなければならない基準にして、だれかに責任をしっかりと持たせて、住民の人たちが裁判を起こしやすいようなものに変えていくべきではないかというふうに考えるのですが、森内閣のときではなくて、小泉内閣になった環境大臣としての今度は前向きな御答弁をお願いしたいと思います。
○川口国務大臣   小泉総理が所信表明演説の中で、「司法制度改革審議会から提出される最終意見を踏まえ、国民と国際社会から信頼される、新しい時代にふさわしい制度を目指した改革を進めます。」というふうにおっしゃっていらっしゃいます。
 この前、原委員から御質問をいただいたことはよく記憶をいたしております。この司法制度改革審議会の最終的な審議会意見はまだ見ておりませんけれども、公開されている審議会の最終段階の案、ちなみに、審議会の最終的な意見というのはきょう内閣に提出をされるようでございますけれども、これはその前の最終的な、最終段階の案でございます。これは、司法の行政に対するチェック機能の強化を一つの検討課題といたしておりまして、その中に、具体的には、現行の行政事件訴訟法上の個別課題として、原告適格、処分性、訴えの利益、その他その他ということについて触れているということでございます。
 環境基準につきまして特に具体的にお話がございました。環境基準の考え方がどういうことかということでございますけれども、環境基本法の十六条に基づく環境基準は、十分な安全を見込んで設定をされたものでございます。より積極的な行政目標と申し上げた方がいいかと思いますけれども。
 したがいまして、これは、どうしても達成しなければならない基準という意味で設定されたのではなくて、それよりもはるかに厳しいレベル、はるかに積極的な目標として設定をされたという性格のものでございます。
 環境省といたしましては、国民が健康で文化的な生活を営んでいくことができるということは非常に重要なことだというふうに考えておりまして、この方向に向けて取り組んでいく、積極的に行政目標として環境基準をつくって、大変に厳しく設定をするという環境基本法の考え方は適正なものだというふうに考えております。
○原委員  ありがとうございました。
 では、時間もないので、最後の質問に移らせていただきたいと思います。
 最後は、覚書というものについてお聞きをしたいと思います。
 私は、こんな覚書があるということを実は全然知らなくて、法律がつくられるときには当たり前のようについてくるものだよ、当たり前だよというふうに説明を受けたのですが、私にとってはちょっと変というか、おかしいというか、怪しいものというふうな印象を非常に受けました。
 二つの覚書について聞きたいと思います。
 一つが、経済産業省から環境省に出されたものについて、この覚書の中の七番のところなんですが、これはどういうことを意図しているのかという内容についてお聞きをしたいと思います。
○長尾政府参考人   法律案第十三条の政令におきましては、窒素酸化物対策地域及び粒子状物質対策地域におきまして、窒素酸化物等の厳しい排出基準の適用を猶予する自動車の種別及び車齢並びに猶予期間が終わる時期を定めるものでございます。
 この政令に関しましては、内容は今後の問題でございますけれども、予定されるものとしては、現在使用されている自動車のうち、厳しい排出基準を満たさないものを使用できる期限を設定することになる、こういうものでございます。
 したがって、自動車の財産権を制限する等の側面がございますので、政令を定める際に、施策の効果とともに、ほかの幾つかの考慮要素について検討を加える必要がある、こういうふうに考えられて、その内容につきまして、両省間の協議の内容を確認している、そういう性格のものでございます。
 このような観点から、御指摘の確認文書は、両省が、まず第一番目に、施策の効果として窒素酸化物等の低減効果を勘案する、それから第二番目に、財産権の制限の程度等他の考慮要素といたしましては、自動車の平均使用年数の動向とか排出基準適合車両の供給の可能性とか中古自動車の販売業者に与える影響など、こういったことを勘案して、政令の内容を総合的に検討しよう、そういう考え方を明らかにしたものでございます。
○原委員  つまり、この法律案の第十三条第一項というものは、きっと低公害車に切りかえていきましょうという内容だというふうに思うのです。今の御説明を聞いて、これを読んだ中で、低公害車に切りかえましょうというふうに言っているのだけれども、何か猶予期間というものをさらに与える。要するに、買って一年ぐらいの車はすぐに切りかえるのとかはやはり大変だということで猶予期間を与えましょうということだと思うのですが、その猶予期間というものをさらに延ばしてしまうというものになりかねませんか。どうでしょうか。
○長尾政府参考人   車は、十年前後とか長い期間使用するものでございます。したがって、現にそういう車が使われておりまして、それをすぐに使えなくする、こういうことになりますといろいろ問題が生じる。例えば、極端なことを申し上げますと、自動車を捨てなければいけないかもしれない、こういった問題も生じます。
 したがって、そういう意味では、先ほども申し上げましたように、自動車の財産権を制限する等の側面がある、こういうことを申し上げました。したがって、一定の猶予期間を設けて対応するように、こういう趣旨でございます。
 もちろん、その内容につきましては、今予断を持って申し上げられるものではございませんで、政令をつくる段階で政府部内でしっかり検討してまいりたい、そういうふうに考えてございます。
○原委員  先ほど財産権というお言葉が出たのですが、国民の、私たちの健康と財産権とどっちが大切かと言われれば、やはり健康だというふうに私は思うのですよね。それなので、実は、この覚書の七というものは要らないのではないかというふうに私は思います。
 じゃ、もう時間もないので、もう一つの覚書についても聞きたいと思うのですが、環境省が農林水産省に出したこの覚書の内容は何を意図するものか、全然意味がわからなかったので教えてください。
○松本政府参考人  環境省と農林水産省の確認の事項が二つございます。
 文字どおりで読みますと、「改正後の第六条第六項(第八条第三項において準用する場合を含む。)に規定する「第二項第二号に規定する施策に関する事務を所掌する大臣」には、農林水産大臣が含まれること。」二番目に、「改正後の第十五条第一項に規定する「製造業、運輸業その他の事業を所管する大臣」には、農林水産大臣が含まれること。」
 この二つの項目なんですが、前段の方の一つ目は、窒素酸化物と粒子状物質についての総量削減基本方針を国がつくります。それを受けて、総量削減計画を自治体がつくるわけでございますけれども、農林水産省は、食品流通業などの事業におきます物流対策というのを当然所管しているわけでございますので、こうした施策に関する事務を所掌する農林水産大臣が、前段で言います総量削減基本方針あるいは総量削減計画、そういうものに関与する大臣でありますよということを確認したということであります。
 それから後段の方については、農林水産大臣は、食品加工業、食品流通業などの事業を所管する大臣でありますから、製造業、運輸業その他の事業を所管する、いわゆる先ほど来お話のある事業所管大臣になりますということを確認しているわけでございます。
 いずれにいたしましても、農林水産大臣というのが、この自動車NOx法の中で、総量削減基本方針においても、あるいは事業者に対する措置という面においても、責任をきっちり持っていただく、こういう意味で位置づけられるということを確認したわけであります。
○原委員  わかりました。御説明ありがとうございます。
 でも、法律の裏でこうした覚書のやりとりがあるというのは、私はやはりちょっと、恐るべし覚書というふうに思うのです。例えば、とてもいい法律をつくったとしても、こうした覚書があるがゆえに、法改正をしようというときに法改正がしにくくなったりということがもしかしたらあるかもしれないということ。
 例えば省庁間の約束を結ぶ、もちろん、だから、協力をしてやりましょうという姿勢を私は全然否定するわけではなくて、法律がより実効性のあるものとなるようにこうした約束を省庁間で結ぶのであれば、別に法律の裏で覚書というこんな怪しい名前でやるのではなくて、公開の場で、こういう約束を交わしましたということをやるべきではないかなというふうに、この覚書というものの存在自体が、なかなか私にはやはり理解できないというふうに思いました。
 以上で、時間が来ましたので質問を終わりにします。

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