| ●原委員 | 社会民主党の原陽子です。よろしくお願いします。 私は、この交通基本法案に関しまして、提出者の方に限りまして御質問させていただきたいと思います。 まず、基本的なことについてお伺いをしたいのですが、今回この法案を提出するに当たりまして、これまでの国の交通政策の視点に欠けているものがあったとしたら、それは何であったとお考えになられているか、御説明をお願いします。 |
| ●菅野議員 | 原委員の質問に、少し長くなりますが、お答えしたいと思います。 交通の公共性を維持するために一定の社会的な規制は必要であり、基本的人権に係る部分は、国、地方公共団体が最終的な責任を持つべきであると考えるものであります。それにもかかわらず、運輸省が主に担ってきたこれまでの交通政策は、モータリゼーションの進展に対して、事実上、無為無策であったと言わなければなりません。適切なマイカーとの役割分担という点からいえば、積極的に公共交通を活用しようという立場から、政策転換がなされてしかるべきだったと思っております。 旧省庁でいえば、運輸省、建設省、国土庁、警察庁、自治省、経済企画庁など、各省ごとに交通問題を担当する省庁が分かれていたこともあって、ハードとソフトの連携が不十分であったと思っております。陸海空の交通整備についても、道路、鉄道、港湾、空港など、縦割り行政によってばらばらに計画され、非効率な整備が進められてきたと思っています。各交通モードの連携が不十分だったと私は思っております。 例えば、バス停の移動についても運輸省の許可が必要と言われたことに象徴されたように、中央集権的な交通行政によって、地域の交通問題に対する地方公共団体や地域住民の意見が適正に反映されたかといえば、反映されていなかったというふうに申し上げなければならないと思います。 各事業法による規制行政によって交通事業者中心の交通政策となり、施設整備やサービスの提供に利用者や乗客の意向の反映がなされにくかったと考えております。マイカーの所有者や健常者中心に施設や道路などがつくられた結果、特に弱い立場にある人たち、高齢者、障害者、子供、移動困難者には利用しにくい町や交通であったと思っております。 近年の需給調整規制廃止に見られる規制緩和政策によって、地方において、バス、鉄道、航路、航空路の不採算路線が廃止されておりますが、高齢者や学生の移動手段の確保や生活交通の確保を図る施策が必要であると考えております。同時に、需給調整の廃止等を背景とした競争の激化は、事故の増加など安全上の問題を引き起こしており、安全面の必要な対策の強化が求められております。 このようなことを勘案して今後の交通政策が遂行されるべきであり、二十一世紀は、本格的な高齢社会の到来と地球環境問題への対応が大きな課題となっており、公共交通を基盤に置いた、人と地球に優しい総合交通体系の確立が求められております。移動する権利の確立、利用者の立場に立った施策の推進、むだな事業をなくした総合的な交通体系の構築、環境に優しい交通政策の推進、生活交通の確保のために、本交通基本法案の成立は、私どもは不可欠であると考えているところであります。 |
| ●原委員 | ありがとうございます。 続きまして、条文に沿って幾つか御質問をさせていただきたいと思います。 この法案の中の第一章の基本理念に基づいて国が交通基本計画を定めるということを義務づけておりますが、まず第一点目に、この計画は、第五次全国総合開発計画、いわゆる五全総と呼ばれるものに優先するものと考えてよろしいのかどうか、答弁をお願いいたします。 |
| ●菅野議員 | 一九九八年三月に、五番目の全総である「二十一世紀の国土のグランドデザイン 地域の自立の促進と美しい国土の創造」、これが閣議決定されております。五全総では、交通分野について、全国主要都市間で、日帰り可能な交通圏である全国一日交通圏、四つの国土軸と連携軸の形成などが目指されております。現行の全国総合開発計画は、今後どのように国土計画を進めていくのかを提示する国土計画の道しるべのようなものとして、他の長期計画の上位にあります。 一方、本法案第十四条三項で、「基本計画は、国土の総合的な利用、開発及び保全に関する国の計画との調和が保たれたものでなければならない。」としており、同条第四項で、計画の案を作成した場合は「閣議の決定を求めなければならない。」としております。 したがって、政府が交通基本計画を決定する際には、各計画との調和が図られるよう調整されるだけでなく、各種計画にもまた交通基本計画との調和のための見直しが図られることが期待されております。 なお、全総方式自体が今の社会経済状況や財政状況にふさわしいのか、疑問を持っているものであります。 以上です。 |
| ●原委員 | ありがとうございます。 次に、都市再生特別措置法との関係について、一点御質問させていただきたいと思います。 第十八条には「交通に係る投資の重点化等」を規定していますが、真に必要性がある交通施策の必要性は何を基準に判断されるのかお尋ねをしたいんですけれども、必要性の対象が地域であり、地域住民の意向でなければ、都市再生と相まって、地域の意見が反映されない公共事業に、ひとりよがりな公共事業につながりかねないという危惧を持っておるのですが、地域の意向を無視した新たな開発の口実にならないためにどのような歯どめが考えられるとお考えか、答弁をお願いいたします。 |
| ●菅野議員 | 私どもは、計画の推進については地域住民の意向が十分反映されるべきと基本的に考えております。 第十八条の「交通に係る投資の重点化等」は、第四条の「交通体系の総合的整備」を具体化するための規定であり、この必要性の判断に当たっては、第四条の「交通に係る需要の動向、交通施設に関する費用効果分析及び収支の見通しその他交通に係る社会的経済的条件」が考慮されなければならないし、各交通モードの特性に応じた適切な役割分担及び有機的かつ効率的な連携の上に立った総合的な整備が前提であります。 また、第八条で、国の交通に関する施策の策定、実施に当たって、「国民の参加を積極的に求めなければならない。」と規定するとともに、第十四条で、交通基本計画の案の作成に関し、広く国民の意見を聞くことを義務づけております。さらに、第九条で、地方公共団体の交通に関する施策の策定、実施に当たって、「地域住民の参加を積極的に求めなければならない。」と規定しております。地域の意向が十分に反映されるような仕組みとしているところであります。 したがって、地域の意向を無視した新たな開発の口実となるのではないか、あるいは官僚主導の野方図な公共事業を進めるのではないかという御懸念は当たらないと考えております。 |
| ●原委員 | 次に、地方公共団体の責務についてお伺いしたいんですけれども、先ほど一川議員の方からも、国と地方の役割分担について政府の方に質問があったと思います。政府の方でも適切な役割分担という表現を使っておったのですが、この「適切な役割分担」という記述は非常にあいまいさが残ると思うんです。解釈の幅が生じることが心配されると思います。 これは地方分権の議論にも及んでくるとは思うのですが、地方公共団体の当事者性というものがしっかりと確保されない限り、現在の力がそのまま交通政策に反映されてしまうのではないかと思うのですが、この法案の中での地方公共団体の責務については、地方公共団体の当事者性の確保がしっかりと保障された役割分担であるというふうに理解をしてよろしいのでしょうか。 |
| ●菅野議員 | お答えいたします。 これまでの交通政策が中央集権的であったことの反省に立っております。本法案では、地方公共団体を交通政策の当事者と位置づけ、「地方公共団体の区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務」を第九条で規定したところであります。「国との適切な役割分担」という規定によって、地域の交通問題については国が不必要な関与をすべきでないという地方分権の理念を示しております。 地方公共団体は、国の施策に準じた施策及びその他、その地方公共団体の区域の自然的、経済的、社会的諸条件に応じた交通に関し、必要な施策を総合的かつ計画的な推進を図りつつ実施することになり、地域の交通問題は、当然、地方の自主的な取り組みにゆだねられるべきと考えております。 今後、地方公共団体における自主的、主体的な交通政策の企画立案機能の向上、交通のまちづくりなど、連携が期待されており、また、国の持っている地方交通行政の権限の移譲を進めることで、地域交通に対する自治体の決定権の拡大や、住民、利用者の声を交通政策に反映させることが求められておると考えております。また、地域間交通やネットワークの形成の観点から、地方公共団体同士の連携協力や国との連携協力が求められていると思っております。 |
| ●原委員 | 次に、第七条の「国際交通機関等の整備」の部分に書かれている記述の中で御質問させていただきたいんですが、この中で、「我が国経済の国際競争力の維持及び強化が図られることを旨として、」云々と書かれていますが、この記述というのは、環境への負荷や地域住民の意向に優先をしてしまうということになっていくのでしょうか。御説明をお願いします。 |
| ●菅野議員 | お答えいたします。 この第七条は、外航海運及び国際航空の中核的拠点となるべき施設の整備を規定したものであり、本来のハブ空港やハブ港湾の整備に重点化されることが期待されるものであります。もちろん、個別具体的な整備の推進に際しては、需要の動向、費用効果分析、収支の見通し、その他社会的、経済的条件、環境影響評価などが十分に考慮されるとともに、住民参加や情報公開が行われるべきことは当然であると思っております。 本法案の第五条においては、交通による環境への負荷についてはできる限りその低減が図られなければならない旨を規定しており、また、第九条においては、地方公共団体の交通に関する施策の策定、実施に当たって地域住民の参加を積極的に求めなければならないと規定して、地域の意向が十分に反映されることを期待しております。 本法案第七条による国際交通機関等の整備は、決して、環境への負荷の低減や地域住民の意向に優先してこれを行うという趣旨ではないと考えております。 |
| ●原委員 | 最後に一点だけお伺いをさせていただいて質問を終わりたいと思うんですが、横断的、体系的な総合的交通政策を推進するためには、縦割りに今なっている交通整備財源の一本化が必要ではないかというふうに考えているのですが、その点をお伺いして、質問を終わりたいと思います。 |
| ●菅野議員 | お答えいたします。 本法案によって、交通に関する施策は総合的かつ計画的に推進されることになり、縦割りを排した横断的な交通体系の整備が求められていると思っております。 総合交通政策の推進の観点から、揮発油税、航空機燃料税を含む交通基盤整備に関する財源についても、現行の税源のあり方や財政規模、環境への負荷に対する税負担のあり方、使途のあり方などを含めて、総合的かつ抜本的に見直さなければならないと思っております。 道路特別会計や空港整備特別会計、港湾整備特別会計等を一元化した総合交通特別会計、仮称でありますが、それを創設し、予算における交通モード間のシェアを抜本的に見直すことが期待されていると思っております。 以上です。 |
| ●原委員 | ありがとうございます。 この基本法が本当に国民の求めるものとなるように期待をさせていただいて、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。 |
| copyright
2001 衆議院議員原よう子事務所 mail : h06101@shugiin.go.jp |
![]() |